1社目・ウェイターのアルバイト編~周りのペースについていけない~ (就労期間7カ月)
大学を卒業しても就職が決まっていなかった僕は、無職で春を迎えなければならなかった。
大学では高校までと違った独特のキャンパスライフが合わず、何事も1人で行動していたので気がついた時には就活取り残され組。エントリーシートの書き方や、面接の仕方などの情報交換すら出来ないまま卒業した。
もちろん在学中に自分なりの行動はしていた。就活系の本で調べてやってみるも、初めての事で何から始めればいいのかわかりにくかった。これまでは誰かが教えてくれた通りにやっていただけだったが、自分でやるとなると優先順位がよくわからない。
就職課の人に相談するも、「物事の段取りが組めない」という悩みは理解されなかった。
オープニングスタッフに魅力を感じる
けっきょく新年度を無職で迎えた焦りもあったので、慎重に仕事を選ぶという余裕が無かった。ちょっとでも「働いて良いかな」と思える場所なら面接を受けようと考える。そんな時、新聞の折り込みチラシにあったカフェのオープニングスタッフ募集の文字が目に飛び込んできた。
僕は漫画のワンピースが好きで、”サンジ”というコックのキャラが好きだったのでウェイターは難しそうだけど嫌なイメージの無い職種。とにかく無職のままで居られないと面接を受け採用もされた。
雇用形態はアルバイトだが、時給もそこそこ良い。なにより人付き合いが苦手な僕には”オープニング”という一から人間関係を築ける場所が有利になると踏んだ。案の定、集まったスタッフはみんな他人同士。
全員が一斉にスタートなので面倒な先輩後輩の上下関係も無い。年齢差があっても気を使わずフランクな雰囲気で居心地は良かった。人間関係も最初は上手くいった。わからない事があったり、失敗してもみんな似たような状況なのでお互いを励ましあっていた。
「なんでそんなに簡単な事ができないの?」と言われるほど頭が真っ白に
少し人間関係にヒビがあるかなと思ったのは、オープンして3ヶ月後くらい。だいたい平日出勤するメンバー、休日出勤するメンバーなど希望シフトが完成していた。
僕のシフトは昼間のランチタイムで、僕を含め男性3名と女性2名。みんなオープニングスタッフだったが、Aさん(29)という男性は社会人経験者で前職も飲食業だったそうだ。みんな慣れないながらも3カ月の研修期間を過ごして、一人前に仕事がきっちりこなせていくようになる。
しかし僕はある時に、このAさんから目をつけられるようになった。Aさんからはたびたび「どうしてそんなに簡単なミスをするの?もう新人じゃないんだよ?しっかり考えようよ」と怒られるようになっていた。
実際に僕は、かなりのミスをしていた。特に忙しい時に慌ててしまい頭が真っ白になりやすい。注文を受けた事を調理場に報告し忘れていたり、注文の聞き間違えも起こしていた。周りがどんどん仕事を覚えて行くと、その差を見せつけられるようで焦りが倍増。
「早く仕事に慣れて、周りについていかなければ」だけの思いで頑張った。
そんな最中にAさんから呼び出され叱責されてしまう。もちろん周りの人たちに迷惑をかけていることは、言われる以前からわかっていた。それだけに、毎回のように感情を爆発させ怒鳴りつけるAさんに何も言えなかった。
「自分でもわからないけど、どうしてもミスが出てしまうんです」と言い返したい思いも我慢してこらえた。こういったトラブルが続き、店長に直訴する形でシフトをAさんがいなくなるお昼過ぎからに変更してもらう。
「Aさんとはなるべく避けたシフト」
Aさんは仕事がデキる人だったのと、掛け持ちのバイトをしていたのでエースとしてお昼時を中心に働いていた。そのAさんが抜ける時間であるティータイムはお客さんもほとんど来店しない。シフト移動後は、静かに働けたので安心して落ち着いた時間を過ごせるようになる。
マイペースが崩される事が苦手な僕は、焦らされなければが働きやすい。お客さんが少ないと仕事の難易度も下がる。その結果、ミスも減るという相乗効果に少しずつ平穏な仕事が可能になっていた。
しかし、とある事件を起こしてしまう。
というのも、ティータイムにはお客さんが少なくなる分だけスタッフは入れていない。ウェイターの僕、料理場の男性2人という少数人数シフトだった。滅多に無いのだけど、事件はそのティータイムに大勢のお客さんがやって来た時に起こる。
普通に人が多くなる事はあるのだけど、その時のグループはみんな食事もまだでおやつ時よりも遅れた時間帯にも関わらず料理をたくさん注文。
厨房は慌ただしくなり、それに伴って運ぶ料理もこの時間帯では珍しいほど増えている。そんな中で、忙しさのあまり焦り続けていた僕はパニックを起こし、お客女性のスカートにスープをこぼすという失態をしてしまう。
自分の手からお皿をしっかりテーブルに置いたはずが・・・。急ぎ過ぎて頭の中が真っ白で、しっかり注意が出来ていなかった。この後は、ひたすら謝罪してオーナーと僕で女性宅にもクリーニング代を届けに行く事になった。
この事件があってからは、Aさんとの出来事などシフトが変更された理由など噂が広がりもう仕事をやっていける状態になくなっていた。
オープニングスタッフという同時スタートから、いつのまにか順位がつき置いて行かれている自分に虚しさを覚えた。オーナーからも叱られる事が増え、ここで働けないと辞める事になった。
カフェはある程度のマニュアルが用意されているが、人の出入りが激しい時には臨機応変さはどうしても求められる。自分に何となく飲食業は向いていないと思いながらも、この頃はまだ「発達障害」という診断もされた事が無かったので"ドジな自分が嫌い"という感覚だった。
7か月という短期間での離職だが、期間以上に怒られた記憶しか残っていない。
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