7社目・介護施設でのデイサービス職員~就労期間10か月~

7社目・ヘルパー2級で介護職員に転職するも理解はされず(就労期間10か月)

携帯販売を辞めてから半年ほどは何もしなかった。辞める度に空白期間などが出来て履歴書に傷がついて行く気持ちが以前はあったのに、この頃になると人生を投げやりに考えてしまう。「今更ニートになっても何も変わらない」という境地か。

 

ニートの休養後は、再びハローワークに行くのだけど、障害者枠ではどうしても給料に限度がある事実を突きつけられる。どうにか給料の高い仕事を見つけたい一心でハロワに通っていたが、偶然にも募集していた「ヘルパー2級資格・介護講座」を職員さんから勧められ流れは変わる

 

この介護講座は、「職業訓練」といって無料で国が失業者に対して仕事に就くまでのサポートをしてくれる制度だ。確かにハローワークではいつも介護の募集がされている事を知っていた。僕は残念ながら、何も資格が無かったので頭の片隅にも置く事はなかったが。

 

しかし介護を選んだのも職員さんの一言からだった。「介護はせかせか忙しい雰囲気を出す人よりおっとり型の人が優遇されている傾向があります。発達障害にお悩みの方で、実際に介護で活躍されている人もいますよ」という話だ。

 

僕もどちらかというと、老人ペースなゆったり若者なタイプ。気持ちだけだが、「ひょっとしてやれるかもしれない」と後押しされていく。

 

この職員さんの勧めをきっかけに、ヘルパー2級の訓練受講も決めた。職業訓練への参加条件として、とにかく3ヶ月間を毎日休まずに来る事が義務付けられていた。通うだけなら楽勝だ。僕はその後ヘルパー2級資格を取得した。

 

介護職を探すも書類審査で落とされるパターン

 

資格を取得してからはハロワで仕事を探すのみ。しかしここでまた「履歴書」と「職務経歴書」の壁にぶち当たる

 

一般枠に応募をし続けるが、書類選考の段階で落とされてしまうのだ。「ヘルパー資格があれば面接くらい受けられるだろう」と見積もっていた僕はここで打ちのめされる。

 

大手から個人まで介護施設6社に応募したのだけど、1社も面接してくれないと言うのは正直参った。僕はマニュアル主義で、何事も真面目に書いて落とされるので「むしろどこかでバイトを継続していた実績を無理やり付け足したい」とハロワ職員さんに申し出てみた。

 

しかし、どうしてもこの部分で職員さんと衝突してしまう。嘘がダメとなると、面接に受からないジレンマ。勝手に嘘を書いても良かったのだけど、几帳面過ぎるほど真面目でマニュアルを通すこの頃の僕は「黙って嘘」が書けなかった。

 

結局、ありのままの自分で受かりそうな障害者枠に応募する事にした。最低賃金の条件となる現状も受け入れ、そこから正社員を目指す方向に行けばいいとポジティブに考える。

 

障害者枠だと、前回の携帯販売でもそうだったように履歴書の中身よりも「今の状態」や「今から働けるかどうか」という根本的な部分が重視されるので受かる自信は満々だ。

 

あまり過去を問われないのも障害者枠の不思議だ。しかし、実際に過去がボロボロでも医療や支援団体のフォローで復帰して行く人が多いため、採用されていくケースも珍しく無いとハロワ側から説明を受けている。

 

僕はここで「障害者枠からでも、頑張れば正社員に昇格できそう」な病院系列の介護施設を選んだ。資格も取り立てなので、これから頑張れば正社員として安定した生活が見えてくると意気込んだ。

 

介護職の面接

 

介護の面接は意外とあっさりしたもので、これと言って技術云々を見られる事もなかった。車椅子の押し方や、お年寄の支え方といった技術を職業訓練で嫌というほど練習させられたが、実際には現場に入るまでは使う事も無いだろう

 

少し面接官の人はキツそうな顔で「色々とお仕事で苦労されているようですね」と僕の履歴書を見て言っていた。障害者枠でやって来た事と、過去の転職歴から胡散臭い奴だと思われていたのかもしれない。

 

体力的な面で自信はありますか?介護は肉体労働なんですよね」とも言われたが、引っ越し業者の激務経験があるので、引っ越しよりはキツイ事はないだろうと「問題ありません」と答えていたのを覚えている。

 

「なぜ介護を選ばれたのですか?」という問いにも、「老人福祉という社会に必要とされる業界で働く事で、僕自身がこれまで社会に支えられてきた恩返しにも繋がると思います」といった内容をそれらしいフリをしながら伝えている。

 

後日、採用の電話が来て見事に介護への転職が決定した。

 

介護とコミュニケーション

 

病院系列の介護現場だったので、スタッフはかなり居た。6階建ての施設で、入居の形で入られている利用者さんたち。僕はひとまず、デイサービス型の現場に入らせてもらう事にした。

 

最初から夜勤のある場所で仕事を始める人もいるが、僕の場合は障害者枠だった事などが影響して昼の部だけの勤務になる。

 

介護は勤務形態が「夜勤可能」となると収入が少しだけ増える。不規則な時間帯で働く事で、夜間手当が付くのだ。僕も、最終的には夜間の部でも働けるように徐々に現場で技術を磨く事にした。

 

最初はお年寄りの話し相手など、コミュニケーションはしっかり取るように言われる。認知症の方が多いので、僕を覚えてもらえない事も多いが顔を見た時に「この人はいつも居る人」という安心感を与えられる存在になる事が重要だと教わる。

 

僕は同世代の人たちとは話があまり出来る方ではないが、なぜかこの時ばかりは話が弾んだ。お年寄り仕様というと変だが、僕のペースとお年寄りの話す波長に親近感がある。

 

僕はよく人の話が早すぎて意味が理解できなくなる事がある。子供の頃からなので、あまり違和感もなかったが特性的なものなのかもしれない

 

お年寄りなら早口で話す事もないので、コミュニケーションに関しての不安は初日で払しょくされた。どちらかというとスタッフ間のコミュニケーションが厳しい思い出だ。空気が読めないので、二人きりで用事をする事に困りやすい。

 

何か話さねばと思って「天気が良いですね」などというと「施設の中でなぜ天気の話なの?」と突っ込まれる。ああ・・コミュニケーションがわからない。

 

雨の日に洗濯ものを干す奴がいる

 

利用者さんとのコミュニケーションが取れるようになり、掃除や洗濯の手伝いをするようになる。この洗濯もので困る事も多かった。洗濯すれば外に干すのだけど、当番になって一か月。初めて天気の悪い日に順番が回って来た。

 

もうすぐ雨が降り始めそうな天気だったが、僕の頭は「洗濯ものをしっかり干す」というミッションで縛られており天気に意識が向かない

 

そのままいつものように、洗濯バサミと洗濯かごを外に出して、マニュアル通りに干し続けていた。すると、ぽたぽた雨が降って来る。雨が降って来たという事をその場で認識して室内干しに切りかえる。

 

ただ、この状態を見ていたチーフに叱責される。「バカ野郎!雨の日に洗濯を干す奴がどこにいるんだ!」とおっさんの怒号。

 

「どこにいると言われても、実際に目の前にいるのだが・・」と返せるわけも無い。すみませんと謝って、そそくさと洗濯ものを室内干しに切り替えた。

 

勤務の初日に自己紹介で「発達障害の特性でマニュアル人間過ぎる事もあります。その時は注意して下さい」と言っておいたが、このケースは想定外だったようだ・・。

 

入浴介助はマニュアル化させられない事情

 

介護職にある数ある介助の中でも、抜けてややこしいなと思ったのは入浴介助だった。お年寄りに合わせた速度で働けるのは介護の魅力だが、入浴介助に関しては普通に働いている人たちでさえマッハの速度で行う。

 

そこには風邪を引かせると病気へ直結するなど理由は様々。また利用者の都合も関係する。基本的に朝から夕方まで入浴介助はあるのだけど、みんな風呂に入りたいタイミングも違えば、入ったとしても風呂の中に浸かりたい時間も違うのだ。

 

人によっては細かい注意点もある。以下のような事は、普通にマニュアル化しており職員共通の認識だったりもする。

 

Aさん:お風呂ではゆっくり浸かるタイプなので、30分が過ぎるまでは出るように急かしてはダメ。

Bさん:入浴その物が嫌で、風呂を嫌がるけど家族さんが不潔な思いをするので入ってもらう。
Cさん:午前中に風呂に誘うとなぜかキレやすいので注意
Dさん:入浴すれば帰宅と思い込んでいるので、帰宅ギリギリまで入浴は控える
Eさん:超ぬるいお湯が好きなので、熱々の人たちの前後の入浴は危険

 

まだまだ利用者さんがいるので挙げて行けばキリはないが、週3日ほどの入浴日が決まっている。事前情報もガッチリ記載されているので、マニュアルが徹底されていそうだが人が相手なので急に変更になる日もある。

 

例えばCさんは、午前中にお風呂に呼べないので午後から案内すると「もう午前中に入ったでしょ!」と認知症の症状でキレる。家族さんの力では、入浴させられないので「怒ったからその日は入浴無し」にもできない事情だ。

 

僕は、この流れがわからず毎度のように風呂場で怒られていた。「マニュアル通りでいいけど、相手は人だから臨機応変に考えてね」と先輩の職員さんから言われる。

 

もちろん、発達障害に理解のある人は丁寧に対応してくれるが、理解してもらえない人から怒られるのがキツイ。障害者枠でも、トップの人たちが採用を決めただけだったりする。末端の人への理解は求めにくいのかもしれない

 

発達障害で車を運転~焦ってぶつけて3回傷つけました~

 

またデイサービス介護は送迎業務もある。僕も面接で「親の車を乗り回しているので、送迎は問題なくできます」と言っていたので業務に携わった。

 

日替わりで交代して運転していたのだけど、日によっては道路が混雑しすぎて急がないといけない日もあった。

 

焦りは僕の敵だとわかっていながら、利用者さんのお迎えに上がる時間についつい気持ちが急いてしまう。利用者さんによっては、細い道ギリギリで入らないといけない場所もあった。そんな時に急ぎ過ぎた僕は3回ほど車をぶつけている

 

3回の内訳は、サイドミラー破損や車体の空間認識不足でゴリゴリ横を擦ったなど。他にもぶつけている先輩がいたが、3回ぶつけたのは僕くらいと言われそれもショックだった。

 

何をやってもミスにしかならない僕は、次第にうつが悪化して辞める結果に終わった。この状況下で10ヶ月間も耐え抜いたのかと思うと、自分なりのベストは尽くせたと思っている。

 

「またハローワークか・・」と思うと、責められる憂鬱や繰り返す面接で死にたくなる。

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