8社目★人生初の派遣会社での勤務~就労期間2年~

8社目・人生初の派遣会社に登録~工場勤務②(就労期間2年)

派遣登録から面接への流れで採用され工場勤務が始まる。これまで7社で仕事をしてきたが、どれを見ても「二度とやるものか」というものばかり。

 

しかし工場勤務に関してはそれが無かった。以前の工場職は、"クビにさえならなければ続いていた"という自負があったのでここに来ても変わらない。またADHDの特性上、なるべく同じ仕事を繰り返してやる方が臨機応変さを求められないので助かると思う。

 

僕がこれに気がつけたのも、仕事を転々としてきた影響があるのだと思うが、発達障害の人はどうしても自分に向いた仕事を見つけるのに失敗が増えざるを得ない。

 

罵声や叱責の中で、やる気を失ってしまうなど理不尽な思いもするが、とにかく色んな業種に触れてみて何が得意で何が苦手なのかだけはハッキリさせておいた方が良い

 

「そんな事すると会社に迷惑がかかる」などと後ろ向きに考えていると、結果的に自分が不利な状況になるのだ。

 

また、この年で親父が定年退職する事が決まった。親父のみが稼いでいた我が家は、収入減になってしまうので住み慣れていたマンションから出て安いアパートに引っ越すと言う。

 

「今より狭い家で親と同居は考えられない」と思うと、より一層しっかりと稼がねばと思った。

 

「派遣」というクッション要素

 

工場に話を戻そう。工場といっても企業によって作業過程など何もかも手順が違う。派遣会社から向かったのは、健康食品のサンプルセットを作るライン工場。

 

お客さんに使ってもらうために、ベルトコンベアに流れてくる商品やパンフレットをその場で組み立てて箱にセットする梱包作業である。もちろん他にも作業はあるが、僕が最初に覚えたのはこの商品梱包。

 

現場責任者の人が、一通りの説明をしてくれるのだけどかなり丁寧に説明してくれるので、メモが取りやすく助かった。どこかぎこちない関係というか、派遣会社が間に入った関係でもあるので向こうから「パソナさんから聞いていると思いますが・・」という話も多くなる。

 

実際パソナで作業過程までは聞いていないので、ここは真剣に聞いてメモを取り続けた。直接雇用されてきた今までの働き方の違いでもあったので新鮮だ。

 

責任者さんは、偉そうに説明する事もなく、僕を派遣会社からやってきた労働者として扱っている感が伝わってくる。物腰が丁寧で、間に入っている「派遣クッション」の効果は大きいように思う

 

責任者の人が一通りに伝えてくれたあとは、僕が働く部署への移動だ。するとチーフ担当という人がいて、その人の下で僕は働く事になった。チーフになると、少しだけ対応が雑になったような気がする。

 

末端に行くほど毎日顔を合わせるので、いつまでもニコニコという習慣もないように思う。

 

不器用過ぎて商品を掴めない

 

さっそく説明通りにベルトコンベア作業を始めるのだけど、いざ商品が流れてくると頭が真っ白になってしまった。説明を受けている時は気がつかなかったが、客観的に見えていたので何もかも分かるような感覚になっていただけだ。

 

実際に流れてくる商品をしっかり手で掴み、サンプルもパンフレットもまとめるというのはそれなりに時間が掛かる。僕はまず、これらをまとめて箱詰め担当のレーンに流す役割だったのだけど、慌ててしまい取り損ねてしまう事が続いた

 

手で掴むという簡単な動作だが、その動作をするための弊害があったのだ。

 

例えるなら回転ずし。あれなら座席でお皿がある一定の時間、流れてくる様子を見る事が可能だが、この時の僕のポジションはそれがわからない感じだった。ちょうど、目の前を通る瞬間だけ商品が見える感じ。

 

これだと、向こうから流れてくる様子を眺める時間が与えられないためプレッシャーになり失敗が出てしまう。

 

パートのおばちゃんに「お兄さん、注意して見てないと・・」と言われるが、「その注意力が無いのです」とは言えない。しかし、ある程度の失敗を繰り返すとゲームのような感覚で上手く取れるようになる。また初めて入った職場に対する緊張感もなくなり頭がクリアになる。

 

ただこれは序の口で、僕に合わせて最初はベルトコンベアの速度を少しだけ遅くしてくれていただけ

 

それでも何度かベルトコンベアを停止しないといけないほど、僕のところで作業が止まっていたので「そろそろ通常の早さにするよ~」とチーフに言われた時は変な汗が止まらないほど出ていたのを覚えている。

 

その仕事、「発達障害の特性があってできません」とも言えない

 

色々とフォローをされたけど、それも最初の1週間くらい。

 

サンプルとパンフレットだけでなく、時には別商品の広告なども織り込む事が出てくる。そうなると、仕事が1つ増える計算。僕に取ってはこの1つ作業が増える事が死活問題で、ラインのペースについていけなくなる事があった

 

そこでまた、慣れるまでの間だけ微妙にベルトコンベアのスピードが落とされたのだけどチーフから声が掛かる。「これでやれそう?」と僕に言ってくるチーフ。僕も「頑張ります!」と誠意や熱意を示すのだけど、これがチーフを怒らせる原因に繋がってしまう。

 

「いや、"頑張り"とかじゃなくて。これでできるかって聞いてるの!」と怒鳴られてしまった。僕は思い返せばこういった「できるかできないか」を聞かれた時に、自信が無いので「頑張りたいと思います」とか「全力で取り組みます」と濁している事が多かった。

 

作業速度の遅さをごまかすつもりではないけれど、「できません」と言えない社会にいる以上は曖昧な返事で伝えるしか方法が浮かばなかった。

 

この頃から、僕自身も仕事の場で「できる」「できません」をはっきりと伝えるように意識するようになる。完璧とはいかないが、少しでも言えると気持ちは楽だ。

 

そしてこの怒鳴られた時から工場では"使えない人材"と認識されてしまった。作業もベルトコンベアから外されてしまう・・。

 

 

学習障害か、それとも勉強嫌いの影響か・・計算が無理

 

ベルトコンベアの次の作業は、組み立ての終わったサンプルの数と重さを計測するという仕事。箱の数と量はあらかじめ決まっているので、これらが合わないとどこかでミスが起こっている証拠。サンプルを多めに入れた箱などが無いよう、気をつけねばならない。

 

また、この箱を1つ1つ計測するにも量が膨大。いつも700パッケージくらいにはなるので途中でいくつ数えたか分からなくなる事もあった。僕は、どうしても数字に弱いところがあったので頭が痛くなる

 

思えば学生時代、数学が全く駄目で0点を取る事もあったくらい。パソコン好きなので「理系っぽい」などと言われたりもするが、露骨な計算は下手くそだ。学校の勉強が嫌いでやらなかったのも影響しているが、元々やっても無理だったように思う。

 

話が逸れるが計算が終わってみると、悪い予感は的中。パッケージの重量の一部が受付伝票との間でズレていた。どうも計算によると、どこかに2~3箱サンプルが多めに入った状態だとわかる。

 

チーフからも怒られたが、「今さらやり直せない」と言われてサンプルを多めにプレゼントとして送ってしまう事でやり過ごす。

 

2年契約を任期満了で終える

 

これらのトラブルはあったが、パソナでの「単純労働」の説明に間違いは無かった。最初の3ヵ月は試用期間で怒られる事が多かったが、その後はパターン仕事でロボットのように働いた。周りにいる人たちも派遣の人だったりしたのもあって、会話もそこそこ出来たのは大きい。

 

契約期間2年という時間を過ごせた事で、貯金もある程度貯まる。派遣先で叱られる事が続いた日は、派遣元のパソナに電話する事もあった。「かなり失敗が続いているので、怒られる毎日です・・クビになったらすみません」とクビになる前にパソナに謝る事もあった。

 

しかし、こういった電話をした次の日はチーフが絶対に怒らないジンクスがあった。「何かあるな」と感じていたのである日、パソナの担当者さんに話を聞いた。

 

すると返って来たのは「派遣元の企業様も、派遣スタッフ様もお互いが気持ちよく働けるよう出来る限りのサポートはしております」と言っていた。どうやら、問題があった時にフォローはしてくれていたようだ。こういうところは、ハロワに無い派遣という仲介システムの良さだと思う

 

発達障害の影響で遅くなったが、32歳にして初めて勤め上げるという体験になった。また親父の定年の影響で、この年に家を出ている。派遣の給料は良かったので、また派遣に転職して稼ぐことだけを考えた。

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