9社目★大手企業へ派遣されてのデータ入力~就労期間1年~

9社目・大手企業へ派遣されてのデータ入力業務(就労期間1年)

任期満了で終えた2年の工場勤務。パソナのスタッフさんから、色々とお礼を言われると同時に次の仕事に誘われる。「なるべく単調な仕事で正社員になりたい」と無理気味な話を振っていた影響か、”単調な仕事”の部分だけ汲み取って頂いたようで仕事を用意してもらえた。

 

「あまり単調すぎる仕事と言うのも少ない方なんですよ。いつもある仕事では無いので、今回も期間限定でよろしければ」と伝えられる。確かに単調な仕事が溢れている世の中ではない。

 

本当は僕が「発達障害で仕事に困っている」と伝えられたらいいのだけど、さすがに切り出せない。「発達障害ADHD学習障害がある」と言ってしまうと、派遣登録すら白紙にされるのではないかと不安になる。

 

障害者向けの派遣求人も見かけたりしていた。しかし、それらはどうしても給料が安かったり仮に給料が良くてもそれなりに仕事に対して機転を利かさないと務まらない内容が並んでいた。ハローワークでもそうだったが、稼げる人は障害も関係ないようだ。

 

派遣会社でのデータ入力の仕事内容

 

そしてパソナから次に紹介された仕事はデータ入力の事務。ひたすら送られてくる顧客データをパソコンに打ち込む仕事だった。

 

この仕事に必要なスキルは「タイピング速度」が重要視されるとのこと。ニート期間にチャットをしていたり、プログラミングで遊んでいたのでここに不安は無かった。

 

また「外部に顧客データを持ち出さない信頼できる人物」「休まずに会社に通える真面目な人」が条件だと派遣会社で言われた。

 

この話をばっさりパソナの人が言ってくれるのでありがたかった。僕を褒めてくれているので信頼関係も築きやすい。時給は1300円の1年契約というそこそこの契約。ひとまず時給がいいのと、家を出ている僕は稼がないといけないため請け負う事にした。

 

このデータ入力業務に面接が必要無かったのは記憶に残っている。ある程度、派遣会社側で選ばれた人材という事なのだろうか。僕を合わせてほかに派遣社員として来ていたのは10人くらい。みんな短期契約されたスタッフだった。このメンバーで1年の歳月を乗り切る事になる。

 

大手企業の顧客情報

 

驚いたのは、全国展開している大手企業の顧客情報に関するデータバンクを扱っていた事。「外に持ち出せば大変」という意味が理解できた。以前、ニュースでベネッセの個人情報流出事件などがあったが、あそこまで規模は大きく無くとも大事なデータバンクである事に変わりはない。

 

顧客の注文リストや、アンケートなど様々な書類が次から次へと送られてくる。住所や電話番号にメールアドレスなど、これらを一件ずつ用意されたテンプレートに打ち込んでプリントアウトしていくという仕事だ。

 

大量の顧客ファイルになるので、正直10人のデータ入力作業員では少ない。

 

タイピングに関しては普段からパソコンを使って遊んでいる為、日本語もローマ字もそこそこの速度で打てる。あとは、うっかりミスをどれだけ減らせるかが僕の発達障害のポイントになっていく

 

データを打ちこんだ際、郵便番号である程度の所在地まではコンピューターが自動的に予測して出してくれるが残された部分はこちらが打たねばならない。

 

ここがちょうど難しいところで、ある程度は自分で判断して顧客が書いた書類を読めないと「いつも人に聞く人」というレッテルを張られる危険がある。

 

この場にいる派遣社員を束ねる正社員が1人だけ主任として存在するのだけど、あまり聞きたくても聞けない空気があった。「分からないから聞くのに怒られる」という経験がトラウマになってしまっている僕は、ここを頑張りどころと見据えていた。

 

届く書類に書かれた文字が「達筆」なのも解読しにくい原因に繋がっている。お年寄りの流れるような文字を「上手い」と感じる人はいいが、僕みたいな若者層が見ると「何を書いているんだ・・」という目でしか見れない。

 

僕はマニュアル的な読みとりしか出来ないので、なるべく達筆と言われる文字よりも、読みやすい字を求めてしまう

 

ADHDは辛い。返却されるミスデータ処理は他人の3倍

 

怖いのは打ちこんだデータにミスがある時だ。別室で、原本の書類と打ち込んだデータの照合作業をする人たちがいて、ミスがあればこちらに返却されてデータの打ち直し。ここで僕が他の人に比べてミスが多いのがわかるのが辛かった。

 

ADHDによる注意力の無さがさっそく露呈している

 

どんどん周りの人が書類データを入力して終わらせているのに、僕のところには別の部署から「訂正お願いしまーす」とどんどん返却されている。僕がミスした事は書類の番号でわかるので、仕方が無いのだけどどうにもならない。

 

「確かにチェックしながらデータを入力しているはずなのに・・」と不安が溜まる。注意力を求められる仕事は、本当にADHDには不利が生じるように思う。

 

タイピング速度さえ上げていれば・・と言えないところがデータ入力の難しさなのだろう。「速度と正確さ」の両方となると少し難しいと感じた。

 

誰でもミスはするので、10枚くらいちょっとしたミスを返されている人はポツポツ見かけるが、僕の場合は酷い時は30枚くらい1日でやり直し。仕事時間が終わっても、僕だけ訂正して帰るみたいな流れになる事もあった。

 

「手伝いましょうか」と同期の派遣スタッフの方に言われるが、毎日ミスがあるので疲れていてキツイ時は頼む事もあった。この手伝ってくれた人は、お昼休憩でパソコンについてお互い好きな事を語れるほど仲良くなった人だった。

 

趣味でプログラミングをする僕の話を聞いてくれるし、僕もこの人の話を聞いて関係が出来ていた。ただ、他の人とは何を話して良いのかわからないので、当たり障りの無い話で継続していた。

 

どうしても話が合う人でないと、合わせると言う感覚になれない僕はコミュニケーションにも悩んだ

 

ノルマがしんどい

 

後はデータ入力にノルマがあった事はきつかった。単調にマイペースで入力して「はい終わり」という仕事では無い。1日に顧客の名簿データを100人分くらい打っていたけれど、あまりにも周りより遅いと主任から怒られる。

 

「パソコンで遊んでいたのではないか」と疑問を持たれる事もあったが、僕の場合は単純に速度が遅いだけ。書類を見てデータに反映させていくというのも、一つの反射神経が求められていたように思う。来た書類をパッと見てさっさとデータにしていく仕事だからだ。

 

書類によっては、あまり記入されていない物もあったりするので、コレが来ると楽な仕事を引いた感覚になるが、こればかりは当たり外れがあるので仕方が無い。

 

僕1人だけ遅い事をパソナの社員さんに電話して相談する事もあった。「僕、企業さんからクビの話とか出ていないですよね?」とストレートだけど聞いていた。「特に苦情は入って無いので大丈夫ですよー」と言われると、気持ちが楽になる。

 

派遣会社で仲介役をしてくれているという事をフル活用して、「自分がここにいてもいいのだ」というのをたびたび確認する自信の無さがあった。

 

しかしこれで仕事が続けられた事もあり、頑張って1年のデータ入力を見事に終わらせる事が出来たのだった。2回も連続で任期満了まで頑張れた僕は、少しだけ発達障害の克服に近づいた気分だ。

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